重陽の節句って何ですか?
2023年10月12日
「端午(たんご)の節句」や「桃の節句」はよく知られていますが、「重陽(ちょうよう)の節句」をご存知ですか?
実は“節句(節供)”は奇数の数字が重なる日で1年に5回あることから「五節句」と言われています。重陽の節句はそのうちのひとつで9月9日に行われます。
目次
重陽(菊)の節句とは
1月7日は人日の節句、3月3日は桃の節句、5月5日は端午の節句、7月7日は七夕の節句、9月9日は重陽の節句で、この五節句は江戸時代には正式に祝日と定められていました。
節句という考え方は平安時代に中国から伝わったもので、宮中では季節の変わり目に邪気を払い、ご馳走を食べて健康長寿を祈念する行事が行われました。医療が発達していなかった時代の健康法のようなものです。
四季折々の旬の植物には悪いものを寄せ付けない生命力があると信じられていたことから、例えば1月7日には春の七草をお粥に入れて食べますし、3月3日には桃の花を飾ったり、5月5日には菖蒲湯に浸かったりと、その時期に旬を迎える草花を用いるのが決まりになっています。
9月9日の重陽の節句は菊の花が旬を迎える時期と重なるため、別名“菊の節句”とも言われます。菊の花は現代では観賞用として庭で育てたり花瓶に生けたりして使うことが多い花ですが、古代中国では薬として使われていました。桃の節句や端午の節句が子どもの無事な成長を願う節句なのに対し、重陽の節句は健康長寿を願ってお祝いをする大人のための節句です。
重陽の節句には何をする?
もともと平安時代の宮中行事では菊の花の鑑賞をしながら詩を読んだり、お酒に花びらを浮かべた菊酒を飲んだり、ご馳走を食べて宴会を行なっていたそうです。
農作物の収穫の時期でもあり、地域によっては収穫祭や秋祭りとも重なることから9日(または供日)=くんちと称され、九州では“唐津くんち”や“長崎くんち”をはじめ各地で盛大なお祭りが催されます。
菊の花は今でも料理の添え物として用いられたりしますが、単に彩のためだけではなく殺菌効果があることから昔から防腐剤代わりとして使われていたようです。
また、東北地方では食用菊を食べる習慣がありますが、花びらには疲れ目に効果があるビタミンB1や抗酸化作用があるビタミンEが多く含まれているのでアンチエイジングにも効果があると言われています。中国で不老長寿の薬とされていたのも頷けますね。
現代では特にしきたりに縛られる必要はありませんので、ご家族一緒に菊の花を愛でながら旬の食材を使ったご馳走を食べて楽しく過ごすのが一番です。
人形の街「岩槻」
埼玉県の岩槻は室町時代から栄えた城下町で、江戸時代に日光東照宮の造営の際、全国から集められた優れた工匠の一部が岩槻に残って人形作りを始めたのが起源と言われています。
また、周辺では人形作りに欠かせない桐材や胡粉を溶かすための水にも恵まれた土地だったことから、人形の産地として発展し、現代でも人形の街としてその名が知られています。
本来は重陽の節句も雛人形を飾ったり、流し雛を行ったりする習慣があったことから“後の雛”とも呼ばれていますが、岩槻では9月9日の重陽の節句に合わせ、街全体で菊の花と雛人形・吊るし雛のコラボレーションが楽しめるイベントを開催します。
周辺の会場では物販や5種類の製作体験が行われるほか各飲食店では菊を食材とした料理がいろいろ提供されますので、ぜひご家族で重陽の節句を楽しんでみてはいかがでしょうか?
第10回人形のまち岩槻 重陽・菊の節句 令和5年9月30日(土)〜10月15日(日)16日間開催
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https://ningyobunka.com/cyoyou/